オラフ短編配信記念!今更レリゴー現象を徹底解説

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2020年10月30日(日本時間)Disney+から、アナと雪の女王の最新短編アニメ、『オラフの生まれた日』が配信されました。

エルサが『Let it Go』を歌う中で作られたオラフが、アナやクリストフ達と出会うまで何をしていたのかというお話です。

わたしも配信初日に拝見しました、オラフ大変だったんだね…。

さて、上述のように、この短編アニメは『Let it Go』の歌から始まります。

もはや地球上でこの歌を知らない人はいないのではないかというくらい、ディズニーソングとしても異例の大ヒットを遂げ、社会現象まで起こした『Let it Go』。

このレリゴー現象について、今更解説したいと思います。

この記事を読んだ後、きっとあなたのレリゴーに対する印象は変わっていると思います。

『Let it Go』が多くの人の心をつかんだ理由

では、そもそもなぜ『Let it Go』はこんなにヒットしたのでしょう。

楽曲がいいのはもちろん最たる理由だと言えます。

『Let it Go』を含む、『アナと雪の女王』の楽曲を提供したのはロペス夫妻です。

夫婦で音楽活動をし、主にミュージカルに携わっている方たちです。

ディズニーでは映画『リメンバー・ミー』の楽曲も提供されています。

このロペス夫妻、かなり戦略的に音楽を作る方らしく、『アナと雪の女王』全編を通しての音楽の巧みな策略によってわたし達はアナ雪に洗脳されていたのか!と知ったときは衝撃的でした。

アナ雪の楽曲に関する記事はたくさんあるので、ご興味がある方はぜひ調べてみて下さい。

音楽もビジネスです。

『アナと雪の女王』はそのリード曲である『Let it Go』に引っ張られるかのように、文字通り大ヒットしました。

一度聴いたら頭から離れない『Let it Go』のメロディは、商業的に大成功だったと言えます。

元々ディズニーが好きだった人だけでなく、一般層、それも老若男女問わず、世界中を巻き込んで、まさにレリゴー現象が展開されました。

当時はすごかったですね、テレビやラジオでもしょっちゅう流れているし、街でも耳にするし、街中では『Let it Go』を一生懸命歌っている小さなお子さんによく遭遇しました。

さぁ、ここからです。

わたし達はなぜ、こんなにも『Let it Go』の虜になったのか?

日本語詞が生んだ小さな誤差

『Let it Go』は英詞と日本語詞で微妙にニュアンスが異なっています。

これは『Let it Go』に限らず、翻訳の過程でどうしても仕方のないことです。

わたしは英語にさほど詳しくありませんが、英詞の『Let it Go』はエルサのお父さんへの反抗、強がり、日本語詞の『Let it Go』はわがまま、に聞こえます。

※あくまでわたしの感想です。

そもそも『Let it Go』の歌の内容は、ストーリーの流れ的にも、エルサの、女王として国を守らなければならない、けど自分のことを周囲を傷つける悪い魔女だと思い込んでいる、だから大切なみんなから離れることでみんなを守る、そしたら自分も本来の自分として生きられるはず、という、エルサの強がりの歌です。

これが日本語詞になると色々ぶっとんで『ありのままの私で生きるわ!』がやたら強調された歌になってしまったのです。

結果、自己啓発の界隈に愛される歌になってしまいました。

日本語詞の『Let it Go』はかいつまんで要約すると、『わたしもあなたもありのままの自分でいいの。変わる必要なんてない。ありのままの自分を愛そう!』と取れなくもないです。

そこが、変わりたくない人たちの精神面にジャストフィットしてしまったのです。

変わりたくない人たち、と書きました。

そもそも人間の脳は変化を嫌います。

今の安全な場所にずっといれば楽ですし、今行っている毎日のルーティーンを崩すことを嫌がります。

なぜなら、怖いから、面倒くさいから。

新しいことを始めるのって、わくわくすることもあるけど、腰が重かったりして結局先延ばしになったりしますよね。

あれ、自分の脳が新しいことに挑戦することを嫌がっているからなんです。

そんな面倒くさいことしてくれるなよ! 今のままでいいんだよ!

脳が必死に抵抗し、結局いつまでも転職や新しい出会いに踏み切れなかったりするわけです。

変わりたい、でも変わりたくない、できることなら今のこのままの自分を受け入れてくれる人と出会いたい、だって努力したくない。

それが、人間の根底にある愚かな欲求なのです。

究極の自己肯定ソング、レリゴー

さてそろそろお気づきでしょう、そんな変わりたくない人たちに、日本語詞の『Let it Go』がこの上なく合致してしまったことを。

ありのままでいいって言ってくれてるわけですから、そりゃあ好ましく思うでしょう。

実はこのレリゴー現象と似たようなことが2003年頃にもありました。

そう、SMAPの『世界に一つだけの花』です。

この歌も、No.1じゃなくていいOnly1でいい、という歌詞を都合よく受け取って、『わたしはオンリーワン!だからこのままでいいんだ』という解釈をなさる人達がいました。

『Let it Go』がヒットしたのも、『世界に一つだけの花』がヒットしたのも、努力しなくてもそのままの自分でいいということを許してくれる、究極の自己肯定ソングだからなんですね。

しかしですね、『アナと雪の女王』をきちんと鑑賞された方なら、エルサが決してわがままにありのままのわたしでいるわ、よろしくね、と言っていたわけではないことはお分かりかと思いますし、なんなら続編でエルサはとても大きな変化を選びます。

カラオケに行ってみんなで『Let it Go』を歌っていた自己啓発界隈の方々も真っ青の、勇気ある決断です。

人は変化を拒みます。

でも時に、その変化に抵抗している自分に気づき、勇気を出して踏み出すことも必要です。

そして踏み出すことができたとき、それが成功でも失敗でも、踏み出した自分を認めてあげることが『自己肯定』ではないでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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